中学生に、第三の居場所を
更新日:2018年11月14日
田中洋輔さん(NPO法人D.Live 代表理事)
市内で、ひとり親家庭の中学生を対象とした
TudoToko(つどどこ)という取り組みについて教えてください。
夜の居場所を求めている中学生や、地域とのつながりを持てずに困っている保護者のための、新しい居場所です。
TudoTokoでは、アクティビティといって、コミュニケーションを円滑にするためのワークショップを行っています。ボランティアの皆さんに作っていただいた暖かい食事をみんなで食べたり、テスト前には勉強をしたりもしています。
こうした時間を過ごすことで、学校も学年も違う友達ができます。
TudoTokoを始めたきっかけは?
子どもたちの居場所を作りたいと思っていました。寂しさを抱えた子どもや、誰もわかってくれないというモヤモヤを抱えた子どもには行く場所が無く、深夜徘徊をする子供ができてしまいます。何かできないかと考えていたところ、市がひとり親家庭の子ども向けに居場所づくりを始める計画があると知り、プロポーザルに応募して、事業をj始めることになりました。
特に力を入れていることはありますか?
家庭でも学校でもない、第三の居場所にしたいと思って運営しています。
思春期になると、悩みや不安などを親や友人にも話せません。自分だけで抱え、苦しむこともあります。そんな子どもたちに対して、「ご飯が食べられる」「無料だから行く」などではなく、「自分らしくいられるから」という居場所であることを目指しています。
ここを卒業した子どもたちが高校生になっても、何かあったら相談できるような居場所でありたいです。
.通っている子どもたちに変化はありますか。
先生と上手く関係が築けない、人が嫌い、という子もいます。誰もわかってくれない学校は楽しくないと、不登校になってしまった子もいました。ところが、話してみるととても活発で、活躍する場を与えるとリーダーとして場を引っ張るようになりました。誰かが見守ってくれる、聞いてくれるというだけで、大きな変化があったのです。その子は、今でも月に1度はここに顔を出してくれます。中学校を卒業してからも訪れる子どもは多いですね。
地域とは、どのような関係を築いていきたいと考えていますか。
子どもにとって必要なのは、見守ってくれるたくさんの大人がいることがと僕は思っています。保護者だけでは、全てを教えることはできないし、限界もありますよね。そこで、いろいろな経験をしている地域の皆さんが寄り添うことで、子どもたちはよりたくさんのことを学べると思います。
縦の関係である親や先生、横の関係である友達とも違う、ナナメの関係にある大人たちとの出会いが自信や悩みの軽減につながると信じています。
子どもだからといって、特別扱いをするのではなく、一人の人間として、ありのままで関係を築いてほしいと思います。そうした考えで接してくれる方が増えてくれたらいいですね。
