令和3年2月教育長メッセージ
更新日:2021年2月1日
「自己表現と教育のこれから」
第46代大統領に就任したジョー・バイデン氏の演説をテレビで見ました。「米国の結束」をテーマにした中身もそうですが、私は、その姿に感心しました。背筋が伸び、体の軸もしっかりしている。とても78歳とは思えません。正面を向き、マイルドな表情でていねいに語りかける。これぞジェントルマンです。そして、驚くのは、プロンプター(原稿表示装置)があるものの、それに目をやることなく、自分の言葉で堂々と話されていたことです。
「Yes,we can(私たちはできる)」を繰り返したオバマ元大統領。「I Have a Dream(私には夢がある)」と人種差別撤廃を訴えたキング牧師。Apple(アップル)創業者のスティーブ・ジョブズ氏の巧みなプレゼン。バイデン氏に限らず、アメリカ人には表現力があります。一般の人でも、その力は際立っています。
では、アメリカ人は、なぜ、自己表現がうまいのでしょうか。何回かアメリカの教育を視察したことを思い出し、感想的に述べてみます。
まず、その根底には、アメリカの文化があると思います。多民族国家のなかで、それぞれの違いを認め、そのなかで、自分の考えをはっきり述べることは、生きる上でも大切です。自分の意見は控えめに、そして、周りに合わせて行動する。このようなことはアメリカでは通じません。
二つ目は、アメリカの教育には、表現力を伸ばす機会が多くあることです。学校では、自分の考えをまとめて、わかりやすく伝えること、また、話合いや議論などのコミュニケーションが求められています。家庭でもそうです。そのようななかで、自己を表現することの抵抗も少なくなり、表現力もついていくようです。ノーベル賞を受賞された山中伸弥氏も、アメリカではプレゼン力を学んだとも述べておられます。
三つ目には、スピーチやプレゼンの際、準備にウェイトが置かれることを挙げたいと思います。「1分間のプレゼンに1時間の準備」ということを聞きましたが、それほどに時間をかけるということです。そのなかで、話す中身だけでなく、声や抑揚、間、さらには、表情や動作にも気を使う。質問も想定して柔軟に答えられるようにしておく。そうすれば、発表に消極的な子どもも、自信をもって安心して発表できるようになります。
今、述べたことは、グローバルな社会に生きる子どもたちへの教育を考えるとき、大切な視点になると思います。草津では、すでに、表現力を高める取組を行っており、先日の「草津市プログラミングコンテスト」「ビブリオバトル」などでは、子どもたちの力が年々高まっていることを感じました。さらなる充実をめざしたいと思います。
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