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司書のおすすめ(「図書館だより」より)

更新日:2023年5月31日

毎月発行している「図書館だより」に掲載した「司書のおすすめ」です。本選びの参考にしてください。
資料によっては、貸出中の場合があります。詳しくはお問い合わせください。

『ほんのきもち』朝吹 真理子/ほか著(扶桑社)2018年刊行 一般書 914.68ホ【本館所蔵】

日常の中で、誰かの家にお邪魔する際に手土産を持って行く、旅行のお土産を渡す、遠方の家族へ仕送りする、作り過ぎた食べ物をおすそ分けするなど、ほんのきもちとして誰かに贈り物をすることがあると思います。
本書は、そんな「ほんのきもち」がテーマのアンソロジーとなっていて、16人の作家や漫画家、編集者たちの贈りものにまつわる短いエピソードが載っています。もらうと嬉しい差し入れの話、贈りものにコンプレックスを感じている話、日常的な気軽な贈り物を「小歳暮」と呼んで楽しんでいる話、家にやってきた犬がもたらした形のない贈り物の話など、テーマは同じでも書く人によって異なり、様々な見方や感じ方を楽しむことができます。
なかでも、甲斐みのりさんの手土産選びの話では、贈り物選びを楽しむコツが紹介されていて、誰かに贈り物を贈りたくなりました。甲斐さんが講師をされている「手みやげ講座」では“自分らしい定番手みやげ”候補として、(1)生まれた土地の物、(2)今暮らす家(職場)の近所で買えるものを発表してもらうのだそうです。ついつい高価で良いものを選ぼうとして、あれこれ悩んで探し回ることもあるのですが、それが必ずしも良いものとは限らないし、自分の身近なものや思い出とともに選ぶほうがより気持ちが伝わりやすいのかもしれないと読んでいて感じました。
本書に登場する贈り物はどれも素敵で、個人的には坂木司さんがちょっとしたプレゼントに選ぶという美噌元の「美噌汁最中シリーズ」が気になっています。
思いがけずもらう贈り物の嬉しさや、相手を思い浮かべながら何を贈ろうかと考えるワクワク感、贈り物を渡すときのドキドキ感など、様々な感情が混ざり合う「ほんのきもち」を皆さんもぜひ味わってみてください。 (本館 神村)

『国境のない生き方私をつくった本と旅』ヤマザキ マリ/著(小学館)2015年刊行 一般書 726.101【両館所蔵】

古代ローマを舞台にした漫画『テルマエ・ロマエ』の大ヒットで一躍有名となったヤマザキ氏は、多くの著書やテレビでその博識ぶりや母の破天荒な子育てエピソードを披露しているが、本書では彼女の旅の遍歴とそこで出合った本について語っている。
ヴィオラ奏者だった著者の母は、娘が生きていくための教養を得るには「大自然と旅と書物」が必要だと気づき、幼い娘2人を連れて東京から北海道へ移り住むことを決断する。それが旅の始まりだった。
北海道の雄大な自然を駆け回った少女時代、スウェーデンの児童文学『ニルスのふしぎな旅』に自分を重ね、主人公のように鳥の背中に乗って空を飛び、動物の世界で生きることを夢想した。詩人の彼と同棲しながらイタリアのアカデミアで絵を学び、文壇サロンに入り浸った17歳から10年間の貧乏な青春時代を支えてくれたのは、各国から集った知識人に勧められて読んだ安部公房と三島由紀夫。出産を機に日本に戻り、漫画家として歩み出して気づいたのは小松左京や星新一に代表される日本SFの素晴らしさ。夫に伴って赴いたシリアで見たのは『アラビアン・ナイト』さながらの人々の暮らしだった。この世界がどんなに広いかをこの目で確かめる旅路のなかで、生活習慣も宗教も考え方も違う人々とたくさん出会い、ときには価値観の違いにぶつかり合いながらも「わかり合いたい」と願う彼女の傍にはいつも本があり、彼女を支え、鍛えてくれた。
地球サイズの地図を携え、人と本との出合いによって身につけた教養と審美眼で生きることを教えてくれた母が娘たちに繰り返し伝えた「他人の目に映る自分は、自分ではない」というメッセージが胸に残る。他人の目から自由でいるためには、まだ見ぬ世界への扉を開き、自分の感性を信じるに足るものに育てなければならない。さあ、自分を鍛えてくれる本を探しに、一歩踏み出そう。 (南館 大西)

『徳川家康-江戸の幕開け-』松本 清張/文 八多 友哉/さし絵(講談社)2017年刊行 児童書 289.1ト【両館所蔵】

ふとしたきっかけから思いがけない一冊と出合うことがある。現在放送中の大河ドラマ「どうする家康」を見る前に、小説を読もうと思い立ち、何がいいかと調べてみた。「徳川家康」と言えば、山岡荘八著(全26巻)を思う人が多いだろう。他にも、司馬遼太郎や隆慶一郎、安倍龍太郎等、名だたる歴史小説家が名を連ねる中、推理小説作家としてのイメージが強い松本清張の名に目がとまり、その意外性から手に取って読んだのが、本書である。徳川家康の一生を、彼が生きてきた時代や同時代を生きた彼と関係の深い人物などを織り交ぜながら、その人間像を浮かび上がらせた歴史小説(伝記)であり、丁寧な解説と描写でわかりやすく書かれていて大人にも十分読み応えのある児童書だ。
家康が幼い時に母と生き別れ、11年間も人質として他国にやられたことや、織田信長の死後、豊臣秀吉に先に天下を取られたために40歳から21年間も辛抱することになった場面などでは、「苦労することの意味」や「苦難に負けない辛抱強さ」など著者自身の言葉で説いている部分が見受けられる。子ども達へのメッセージとしてだが、大人が読んでもストンと胸に落ちる説得力と愛情を感じて、著者に励まされているような気持ちになった。
信長、秀吉、家康、三者三様の天下取りは見どころで、特に家康が信長、秀吉と決定的に違った「改革(組織力)」について興味深く読み進んだ。辛抱強く苦労を乗り越える力や、天下人を立てつつも自分というものはしっかり持って、学問や読書を修養し、質素倹約、感情によって行動することを戒めとした家康の人間像を知ることができるエピソードも満載である。晩年焦りが出て、短気で感情的になる場面などの描写もまた、著者ならではの味が出ていて、家康という人間により引き込まれていった。人間を多面的に捉え、その深奥に触れることができる松本清張の世界を是非味わってもらいたい。(本館 二井)

『料理大好き小学生がフランスの台所で教わったこと』 ケイタ/著(自然食通信社)2020年刊行 一般書 293.5【本館所蔵】

本書は、小学5年生のケイタくんが料理を学ぶためにフランスへ行き、そこで感じたことや友人に教わった料理を、ケイタくん本人がまとめた旅の記録です。
長野県の小さな村で暮らすケイタくんは、料理をすることが大好きで、お父さんが営む農家を手伝うボランティアの人たちから料理を教わることもあります。特にそのうちの一人で、フランス人シェフのジェレミーに作ってもらった料理がとても美味しく、フランス料理に興味をもつようになります。そんなケイタくんが5年生になる前の春休み、生死をさまようほどの腸閉塞を患ったことで、「フランスに行って本格的な料理を食べてみたい」と強く思うようになります。その思いを実現させるため、クラウドファンディングに挑戦し、自分でもお金を貯めて、2020年2月、自分で作ったマイ包丁を手に、学校を休んで料理を学ぶためにフランスへと向かいます。
フランスの友人の家を訪ね、一緒に料理や食事をする様子や、教わった料理のレシピが写真付きで紹介されています。「クロワッサンはでかくてクロワッサンぽくないし、ジュースは日本と違って生あたたかかった。でもおいしかった。」など、正直な感想に子どもらしさを感じつつも、読んでいると、ケイタくんの行動力、たくましさ、チャレンジ精神に驚かされ、「子どもだっていろんなことができるんだなぁ」と関心させられます。料理修行の中で、いろんな出会いと気付きを得たケイタくんだから表現できる思いや言葉が詰まっています。
一人の男の子の好奇心がきっかけで生まれた本書は、自分で実際に見て味わいながら学んでいく子どもの成長記録にとどまらず、子どもが興味をもてば幼くてもさせてあげようとする親や大人たちの姿も素敵で、子育てや子どもとの関わり方の参考書としても読み応えがあります。 (本館 神村)

『我が友、スミス』 石田 夏穂/著(集英社)2022年刊行 一般書 913.6イ【本館所蔵】

本作が第166回芥川賞にノミネートされたとき、私はタイトルの印象から「スミス」という外国人との交流を描いた歴史物語だろうかと想像した。しかし、スミスとは人の名前ではなく、バーベルの左右にレールがついたトレーニング・マシン「スミス・マシン」のことだった。これは、現代的なテーマを切り取った、筋トレに励む一人の女性の物語だ。
29歳の会社員U野は、黙々と背中を鍛えていたある日、元ボディ・ビル選手の女性О島から声を掛けられる。О島が新しく立ち上げるジムに入会し、一緒にボディ・ビル大会出場を目指さないかというのだ。真新しいジムを見学に行くと「スミス・マシン」が3台も備えられていた。仲間と群れず一人で鍛えたいU野には、補助してくれる人を付けずに負荷の高いトレーニングを行うことができる「スミス」は、必要不可欠な存在なのだ。そして、О島はU野を覚醒させる一言を囁く。「うちで鍛えたら、別の生き物になるよ」と。
週7日の筋トレと食事管理を行うと同時に、U野はこれまで興味を持ったこともなかった美容にも取り組むことになる。元ミス・ユニバース日本代表E藤の指導の下、大会に勝つために、髪を伸ばし、ピアスを開け、脱毛し、日焼けサロンに通う。そうして日に日に変わっていくU野の姿に彼氏ができたと勘繰る男性同僚が投げかけた「女性は大変ですね」という発言は、彼女の心に深く突き刺さった。
物語は、U野の一人語りで進んでいく。そのほとんどは、表には出ないU野の心の声だ。ポーカーフェイスで、地味で、馬鹿真面目な一匹狼と自分を評するU野だが、心の声はいつも少しテンションが高い。テンポよく繰り出される言葉の数々がおもしろく、筋トレに詳しくない読者にも、知らない世界を覗く楽しさを与えてくれる。
E藤から告げられた「あなたが考えているより、この競技は、ずっとクラシックなのよ」の意味を噛みしめながら大会に出場したU野が、闘いの末に至った結論はとても清々しく、拍手喝采を送りたくなった。(南館 大西)

『あいまい・ぼんやり語辞典』 森山 卓郎/編 (東京堂出版) 2022年刊行 一般書 814【本館所蔵】

日本語には、二通り以上の解釈ができて意味が一つに決まらない「曖昧」な言葉と、解釈に幅ができてしまう「ぼんやりとした」言葉があります。本書では、編者を中心に言語を専門とする専門家が日本語の曖昧でぼんやりとした表現を紹介しています。
例えば、日常的に使う「ちょっと」。ちょっと大きい、ちょっとお腹がすいた、ちょっと遅れる、の他にも、この書類ちょっとわかりにくいね、今夜はちょっと飲みに行けない、など様々な場面で使っている言葉ですが、改めて意味について考えたことはないかもしれません。前半の「ちょっと」は「少し」に置き換えられるのに対し、後半の「ちょっと」は相手への配慮から表現を柔らかくする役目を果たしています。
また、最近若い人を中心によく使われる「ヤバい」は、かつては危険や不都合が予測される否定的な意味で用いられていましたが、肯定的な意味合いで使われることが多くなっています。実際に大学生95名に「ヤバい」を良い意味で使うことがあるかを尋ねたところ、91名が「ある」と答えたそうです。カタカナとひらがなで区別することもできず、文章からはもちろん、口頭でも良い「ヤバい」なのか悪い「ヤバい」なのかを判別することは難しいのですが、なんとなく通じるのが日本語の特性と言えるかもしれません。
日本語の習得は数ある言語の中でも難しいと言われていますが、本書を読むと、なるほどその通りだと言わざるをえません。大抵のことが「Yes」か「No」で表現できる外国語に対し、行間を読むことが美徳とされる日本の文化や習慣が日本語に表れている気がします。皆さんも普段何となく使っているけれど、よくよく考えてみるとはっきりしない表現だと思うことがあるのではないでしょうか。曖昧でぼんやりした表現はトラブルになることもあれば、相手を思いやることにも繋がります。言語本来の意味を知れば、どの場面で使うのが最適かきっと見えてくるはずです。日本語に込められた奥深い言葉の意味をお楽しみください。(南館 塩崎)

『常識のない喫茶店』 僕のマリ/著(柏書房)2021年刊行 一般書 914.6ボ【南館所蔵】

常識のない喫茶店とは、失礼な人やマナーが悪い人には普通に注意する。不快なことや許せない行為があれば出禁にする。「働いている人が嫌な気持ちになる人はお客様ではない」という理念で支えられている、東京のどこかに実在する喫茶店。著者はこの喫茶店で働きながら文筆業を生業としている。
「もう来ないでください」「迷惑です。帰って下さい」「お代は結構ですので出ていってください」。≪お客さんと喧嘩してもいい≫というルールに従い、容赦なくマナーの悪い半グレの人を店の外まで追いかけて行って出禁にするなど、日々繰り返される数々のエピソードにハラハラドキドキして、その常識のなさに、これ本当の話?と思いながらも、それが痛快感や爽快感を伴ってくるようになり、読み進んでしまう。
著者は、喫茶店で出会った、たくさんのお客さんとの日常をシニカルに綴りながら、その一方で、日本のサービス業は「サービス」に甘んじすぎてないか。「店員」だけに求めすぎていないだろうか。と冷静かつ辛辣に読者に投げかける。
著者自身、前職の下着メーカーの営業で、クレーム対応の際、必要以上に謝罪を強いられることを繰り返し、その結果病んだ経験者でもあるので、妙に説得力もあり、自分がもし、客の立場だったら?この喫茶店で働くことになったら?と、自身の客としての態度や仕事、働き方についてなど、読者はいろいろと考えさせられることになるだろう。
個性的な喫茶店のマスターや店員達との出会いと絆、推し客とのやりとりによって著者が変わっていく様子も興味深い。いいお客さんを守るために、いい店でありたい。悲喜こもごもを乗り越えて、接客は楽しいと言い切る著者の心にブレはなかった。
様々な言動の内側にある人と接することで生まれた感情、心の機微を本書で感じて欲しい。常識はないけど良識のある、やさしさと思いやりにあふれた喫茶店の扉をあなたも開けてみませんか。お客として?店員として?それはお任せします。(本館 二井)

『わたぶんぶん わたしの「料理沖縄物語」』 与那原 恵/著(講談社)2022年刊行 一般書 596.04【南館所蔵】

本書は、2010年刊行の単行本を、沖縄の本土復帰50年となる今年、文庫版として再出版したものである。著者は沖縄人の両親を持つが、自身は東京生まれの東京育ちで、沖縄の思い出はほとんどなかった。しかし、ノンフィクションのライターとして、早くに死に別れた両親の足跡をたどって、琉球王国の士族家系である父方の祖父母が住む沖縄や母が幼い頃を過ごした台湾を旅したり、ボリビアの沖縄移民の村を訪れたりするうちに、苦難を越えてなお温かく旅人を受け入れる人たちとの交流を通して、おいしい料理に出会い、ルーツである沖縄とのつながりを少しずつ結んでいく。
タイトルの「わたぶんぶん」とは、沖縄の言葉で「おなかいっぱい」という意味である。ごちそうに満たされ、大いに酒に酔い、ついには踊りだしてしまうさまを表すような愉快な響きだ。また、副題の「わたしの「料理沖縄物語」」には、本書に何度も登場するおしゃれで粋な「おじさま」こと、古波蔵保好の著書『料理沖縄物語』へのアンサーソングとしたいという意図が込められている。
出てくる料理の数々は、今日では有名になったものもあるが、初めて聞くものも多い。母の女学生時代からの友人で、新宿の沖縄料理屋「壺屋」のおばちゃんが作る絶品「ソーミンプットゥルー」は「ソーミンチャンプルー」とは別物で、「あんだぁ」(豚のあぶら)と「てぃあんだぁ」(手のあぶら)が味の決め手だという。宴会好きの著者が友人にふるまう「みぬだる」は黒ごまをまぶして蒸した豚肉料理で、ふんわりと優しい味。父が兄や姉には内緒で作ってくれた思い出の「ぽうぽう」もきっと優しい味がしただろう。
どんな人の懐にも飛びこむ、著者の気取らない性分がにじむ文体が読んでいて心地よい。挿画も表紙も、著者の愛する人たちの手によるもので、本書が愛情を込めて作られたことがわかる。料理だけでなく、本も作り手の「てぃあんだぁ」が味わいの決め手になるのだろうと思った。「くわっちーさびたん」(ごちそうさまでした)。(南館 大西)

『世界「失敗」製品図鑑』 荒木 博行/著(日経BP社)2021年刊行 一般書 675.3【本館所蔵】

 「失敗」からも成功へのヒントが見つかることがある。「失敗は成功の基」ということわざがあるように、失敗経験から学びを得るのにおすすめしたいのが本書である。
 コカ・コーラやグーグル、任天堂、トヨタといった名立たるグローバル企業の新商品や新サービス、新規事業の「失敗」に注目し、20の事例が紹介されている。一つ一つの事例に対して、(1)どういう製品だったのか、(2)どのようにして失敗に至ったのか、(3)なぜ失敗したのか、(4)私たちへのメッセージという4つのポイントに分けて書かれている。ただ失敗した製品を紹介するのではなく、失敗に至る背景まで丁寧に解説されていて、具体的な企業の裏事情や仕組みを知ることができる。また、著者オリジナルのポップなイラストも入っていて読みやすい。
 主な失敗事例として、経営の意図が上手く顧客に伝わらず批判の声があがり姿を消した「ニュー・コーク」(コカ・コーラ)、過去の成功体験により甘い見通しで難易度の高いビジネスに参入したら多くの損失を出してしまった「NOTTV」(NTTドコモ)、無防備な策であったにも関わらずトップが尊大であったため誰も反対意見を言わずすぐに白紙撤回となった「クイックスター」(ネットフリックス)などがある。中には、顧客の声を聞かなかったことで事業に失敗した経験を経て、その後の新事業立ち上げの際は、近所の人や若いスタッフの声に耳を傾けることを大切にして大成功を収めたという企業もある。
 本書で紹介されている失敗の原因はどれも身近に起こりそうなものばかりで、大企業でもこんな失敗をするんだと驚いた。「失敗とチャレンジはセットメニューであり、単品注文はできない」という著者の言葉から、失敗を怖がって何もできないよりも、失敗をどうリカバリーして次につなげるかが大切なんだと気付かされた。  (本館 神村)

『ワカレ花』 けんご/著 (双葉社)2022年刊行 一般書 913.6ケ【両館所蔵】

物語は、春から一年を通して様々な恋模様を描いた短編集で、「散り桜」「ユキヤナギ」など美しい花の名前の章タイトルが散りばめられています。プロローグにはタイトルとなっている「別れ花」が登場し、一気に物語の世界へ引き込まれます。
第1章「始業式」は、高校生の頃の淡い初恋を大学生の娘に語る形で物語が進んでいきます。電車の中で名前も知らない男の子に恋をした主人公の遥は、少しでも彼に近づきたくて、読書が苦手にもかかわらず彼が読んでいる本と同じものを読むようになります。声を掛けたくても掛けられない、気づいてほしいけど恥ずかしい、高校生の純粋な気持ちの描写は、大人になってしまった私には少しまぶしく感じるけれど、やっぱり主人公と一緒にドキドキしてしまいます。短編集でそれぞれの話は完結しますが、2つの大きなストーリーがそれぞれの章と少しずつ重なりあっていて、あれ?もしかしてこの登場人物は、と気づくと物語を違った見方で楽しむことができます。久しぶりに読んだ青春恋愛小説でしたが、本書を読んで、フレッシュな気持ちを忘れず、いつまでも色々なものにときめくことができる大人でありたいと思いました。
7月18日に開館20周年を迎える南草津図書館で、本書の著者であるけんごさんの講演会を開催します。本書がデビュー作のけんごさんは、TikTokやInstagramなどのSNSでおすすめの本を紹介されている、小説紹介クリエイターで、1989年に出版された筒井康隆の小説『残像に口紅を』を紹介したことがきっかけで、計11万5千部の増刷となり、出版関係者からは、日本で一番本を売るTikTokクリエイターと言われているそうです。「装丁が素敵」「表紙を見ただけで読みたくなる」と、講演会の実行委員メンバーである市内中高生9名も大絶賛でした。講演会では、自身の読書経験やおすすめ本の紹介にも触れていただく予定です。読んでから見る人も、見てから読む人も、けんごさんの魅力を是非体験してください!!(南館 塩崎)

『カビの取扱説明書』 浜田 信夫/著(角川書店)2020年刊行 一般書 465.8【南館所蔵】

6月と聞いて、みなさんが連想されるものは何だろう。私がイメージしたのは「毎日のように雨が降り、洗濯物が乾かない」「衣替え用に防湿剤を買わなくちゃ」「暑くなる前にエアコンの掃除もしなければ」等々。そこに共通する黒い影の存在にはたと気づき、本書を手に取った。
著者は、カビを専門に研究してきた第一人者で、テレビやラジオにも出演している人物だ。長年に渡って研究所の市民相談窓口でカビに対する苦情相談を請け負ってきたため、平易な言葉でわかりやすく、ときにはとても楽しげに、身近なカビとのつき合い方からマニアックなカビの世界までもを紹介している。
カビは、ウイルスや細菌とともに「微生物」としてひとまとめに考えられがちだが、大きさや生物としての成り立ちは全く違う。カビが属する菌類には、私たちが食用だと思っているキノコや酵母も属しており、分類学的にはカビと酵母は一体である。日本の食文化にカビの働きは欠かせないし、チーズやワインも嗜むにも関わらず、カビに悪いイメージがつきまとうのは、みてくれの悪さだろうと著者は嘆く。
しかし、著者は「カビのコロニーは美しい」と繰り返す。中でもコウモリ等の糞に生えるカビは格別に美しく、魅せられるという。カビは悪者という先入観を持っている我々にはすぐにはピンとこないが、冬にミカンの段ボール箱で青くカビたものを発見したときのことを思い出すと、独特の匂いとともに周辺が白く中心部が青緑色の円状のカビの姿が思い浮かんだ。確かに美しい青緑だったと言えなくもない。
元来、野外の厳しい環境で細々と健気に生きてきたカビは、人類が作り出した快適な住環境に豊富な栄養を与えられたからこそ大繁殖したのだと知ると、複雑な心持ちになる。浴室のタイルの目地にはびこる黒い点々を憎らしく思いながらも、しげしげと見つめずにはいられない。 (南館 大西)

『自分で「始めた」女たち』-「好き」を仕事にするための最良のアドバイス&インスピレーション- グレース・ボニー/著 月谷 真紀/訳(海と月社)2019年刊行 一般書 159.4【本館所蔵】

本書は、独立や起業をした、個性的で才能にあふれる女性、112人が登場し、それぞれのファッションやオフィス、作品等の豊富なカラー写真とインタビューが掲載されている自己啓発本です。女性たちの職種は、料理研究家、デザイナー、作家、キュレーター、陶芸家、コメディアン、ジャーナリスト等、いろいろで、年齢も19歳~94歳までと実に様々です。女性達の多様な人生は美しく、ページをめくるごとに、それぞれのしなやかなパワーに励まされ、力が湧いてきます。
インタビュー内容は、「子どものころの夢は?」、「駆け出しのころ役に立ったアドバイスは?」、「仕事場のお気に入りポイントは?」、「キャリアや仕事のために払った最大の犠牲は?」、「あなたにとって成功とは?」、「夜眠れなくなるような不安や悩みはある?」、「自分でビジネスを始めて得た最大の教訓は?」、「ミスから学んで成功につながったことはある?」、「自信をなくしたり逆境に陥ったときの立ち直り法は?」、「自分らしく好きなことをしようと奮い立たせてくれる座右の銘は?」等々、共通の質問に答えてくれています。同じ質問の部分の答えを追って読むのも面白いですし、それぞれの人物のカラー写真とインタビューから人となりや人生を想像して読むのも一興です。例えば、子どものころ俳優になるのが夢だった、ライターのアシュレー・C・フォードさんは、スランプから脱出したい時の特効薬に、「「めぐりめぐる月」(シャロン・クリーチ著,講談社)を読み返す。」と答えていて、「いつだって、本の中に自分の強さを取り戻す力や自信を見出してきた」という彼女の一文に“私も”と共感しました。そして、彼女が駆け出しのころ役立ったアドバイスは、「たかが最初の一歩と思いなさい」。新しくスタートしたばかりのたくさんの人達にこの言葉が届きますように!  (本館 二井)

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