平成29年2月定例市議会施政方針
更新日:2017年2月27日
~平成29年度施政方針について~
私は、草津市長として市政をお預かりさせていただいてから、この3月で9年を迎えようとしております。就任よりこれまでの間、1期目のマニフェスト『「もっと草津」宣言』で65の施策・事業を、そして2期目は「もっと草津」からさらに前進をした『「さらに草津」宣言』で77の施策・事業の推進を図ってまいりました。
その結果、昨年6月に公表されました、全国の813都市を対象にした「住みよさランキング2016」において、本市は近畿エリアで4年連続の1位となりました。全国順位でも、20位と、3年連続で20位以内となっており、引き続き高い評価をいただいているところであります。
しかしながら、全国的には人口減少社会に突入しており、顕在化する諸課題に向き合っていかなければなりません。本市は、全体的にはまだ人口が増加しており、市の高齢化率は全国より低いものの、年々確実に上昇しており、人口構造の変化が生じているのが実情でありまして、当面する人口増加への対応と、将来の少子高齢化への対応、また一部の地域では人口減少や高齢化率の上昇といった本市特有の複合課題に向き合っていかなければなりません。
こうした課題を解決するためには、市民の皆さまのニーズを的確に捉えることが重要であることから、私が、市政運営にあたって最も大切にし、常々申し上げております「現場へ行き、現物を見て、現実を知る」という、3現主義を実践してまいりました。昨年から開催しております各種タウンミーティングでは、市民の皆さまから様々なご意見やご提案、まちづくりに対する熱い思いを直接聞かせていただき、改めて私に課せられた責任の重さと、市民の皆さまの私に対する期待の大きさを感じたところでございます。
3期目の市政運営に当たりましては、草津の10年、20年、30年先を見据え、本市特有の複合課題の解決を図り、持続可能なまちづくりを進めていくことが重要であります。
「もっと」から「さらに」、そして子どもから若い世代、高齢者までの全ての市民の皆さまが、それぞれの夢や希望を叶えられ、安心して暮らすことができる「『ずっと』住み続けたいまち」を築いていくためには、私のマニフェストであります『「ずっと草津」宣言』を実現しなければならないと考えております。
皆さまの声を受けて策定いたしました『「ずっと草津」宣言ロードマップ』を早期かつ着実に実行するため、今議会に提出させていただきました平成29年度各会計予算案におきましては、91施策のうち89施策を盛り込んだところでございまして、「マニフェスト・ロードマップ実行予算」としたところでございます。
また、4月には、私が就任してから整備を進めてきました草津川跡地公園の区間2および区間5の供用を開始するとともに、市政運営の基本としております「協働のまちづくり」を進めるうえで、各学区の拠点となる「地域まちづくりセンター」も開所し、地域の皆さまが主体となる新たな管理運営が始まろうとしております。これらの新たなフィールドにおいて、多様な担い手による多彩な活動が、活発に展開されていくものと期待するとともに、13万草津市民をはじめ、草津に関わる全ての人たちが、草津に誇りと愛着をもっていただき、多種多様な活動によって活気と交流があふれるまちとなるよう、市民の皆さまとこれまで一歩一歩進めてまいりました「協働のまちづくり」をより一層着実に推し進め、更なる草津市政の発展と市民福祉の向上に、今後とも全力で取り組んでまいります。
~平成29年度当初予算の考え方~
平成29年度は、第5次草津市総合計画の総仕上げとなる第3期基本計画のスタートの年であります。目指す将来のまちの姿であります「出会いが織りなすふるさと“元気”とうるおい”のあるまち 草津」を実現するための施策・事業を推し進めてまいります。
また、本市が持続可能なまちであり続けるためには、今日までの取組を一層進めることとあわせまして、本市特有の複合課題の解決に取り組むことが重要であることから、平成29年度予算は、「マニフェスト・ロードマップ実行予算」かつ『「草津の未来を切り拓き、未来を築く」積極型予算』を編成したところであります。こうした中にありましては、本市が将来にわたって持続的に発展し、健全な財政運営を維持していくことを目的として策定した「財政規律ガイドライン」の各財政指標に留意しつつ、重点施策等への戦略的な財源配分を行いました。具体的には、財政運営計画に計上した各種の大規模事業の実施が、市民サービスに影響を及ぼすことなく着実に進めていくことができるよう、歳出全般にわたる徹底した見直しはもちろんのこと、施策・事業の優先順位の的確な選択を行い、新たな目標達成に向けた施策の推進と、喫緊の課題解決に対応する事業をはじめ、早期に取り組むべき5つの重点施策と、「第5次総合計画第3期基本計画」のリーディング・プロジェクトを着実に推進することといたしました。
まず、重点施策の1点目として、「防災・安全のまちづくりの推進」を図ってまいります。
昨年は熊本地震や鳥取県中部を震源とした地震、また、北海道や東北で大きな被害をもたらした台風など、多くの自然災害が発生し、その脅威を改めて認識させられました。災害に強いまちづくりを進めることは、市民の生命、身体、財産を守り、安全で安心して暮らせる地域社会を実現するための最重要課題であると認識しておりまして、その実現に努めてまいります。
次に、2点目として、「教育の充実」を図ってまいります。引き続き第2期の教育振興基本計画の基本理念である「子どもが輝く教育のまち・出会いと学びのまち・くさつ」の実現に向けて、本市教育の更なる質の向上を目指した取組を積極的に進めてまいります。
次に、3点目として、「子育て支援の充実」を図ってまいります。妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援の提供など、安心して子どもを産み育て、社会で子育てを支える仕組みを構築し、未来を担う大切な宝である子どもが、心豊かでたくましく健やかに育つ環境づくりに取り組んでまいります。
次に、4点目として、「高齢者福祉の充実」を図ってまいります。高齢者が住み慣れた地域や家庭でいきいきと輝き、安心して暮らすことのできるまちづくりを進めるため、地域包括支援システムの充実を図り、新たに介護予防・日常生活支援総合事業を進めてまいります。
次に、5点目は、「スポーツ健康づくりの推進」を図ってまいります。子どもの体力向上や生涯スポーツの活動の推進など、全ての市民の皆さまがスポーツや運動に親しみ、スポーツの振興と心身の健康を保持・増進する取組を進めてまいります。
次に、本市のまちづくりを先導、けん引するため、重点的に取り組む施策として、「総合計画のリーディング・プロジェクト」の推進を図ってまいります。
まず、「健幸都市づくりの推進」では、これまでの健康づくりの枠組みを超え、道路や公園等のハード整備、健康産業の育成支援など、市の総合行政として、「健幸都市基本計画」を着実に推進し、「住む人も訪れる人もいきがいを持ち、健やかで幸せになれるまち」を目指して取り組んでまいります。
次に、「まちなかを活かした魅力向上」では、市の中心部と郊外部とのネットワークを充実し、市内の魅力ある地域資源に、円滑にアクセスできる環境を整え、まち全体の活気やふるさと草津の魅力向上に取り組んでまいります。
また、「コミュニティ活動の推進」では、多様化する市民ニーズに対応するとともに、市民自治のさらなる活性化を目指して、地域の特性を活かしたまちづくりを推進し、まちづくりの各主体が相互に連携・協力しながら進める「協働のまちづくり」を市政運営全体の基本方針として、より一層取り組んでまいります。
さて、ここで予算編成の前提の一つである我が国の経済の動向について、少し申し述べさせていただきます。
先日発表されました政府の月例経済報告では、景気は「一部に改善の遅れがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との判断を3か月連続で維持され、世界の景気については、「一部に弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復している」と4か月連続で維持されたものの、先行きに関して、アメリカは「トランプ政権が進める今後の政策の動向および影響」に、またイギリスは「EU離脱問題に伴う不透明感の高まりによる影響」に留意する必要があるとされたところであります。また、昨年10月から12月期の国内総生産の速報値においても、4四半期連続のプラス成長となり、景気は緩やかに回復しておりますが、景気の先行きを左右する中国経済の失速など世界経済の不確実性や、内需では個人消費を押し上げる賃上げの動向、住宅投資のリスクが懸念されるなど、景気の先行きは依然として予断を許さない状況下にあります。
国においては、「経済再生なくして財政健全化なし」との経済財政運営の哲学のもと、「希望を生み出す強い経済」、「夢を紡ぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」を推進するため、少子高齢化という構造的な問題について正面から取り組み、将来への安全を確保し、誰もが生きがいをもって充実した生活を送ることができる「1億総活躍社会」の実現に向けた取組など、経済再生と財政再建の両立を実現するものとして、平成29年度予算を取りまとめられております。
こうした国の情勢や本市の状況等も踏まえ、本市の新年度予算の編成を行ったところでもございます。
まず予算規模でございますが、一般会計では当初予算としては、過去最大の554億1千万円となったところであります。
今年度予算より80億2千万円、比率にして、16.9%の増となったところであります。
主な増加要因といたしましては、クリーンセンター更新整備費で約59億8千万円、民間保育所等の運営費や施設整備費補助金である保育振興事業費で約11億3千万円、(仮称)市民総合交流センター整備費で約9億2千万円、野村公園整備費で約4億6千万円でございまして、性質別に申し上げますと、扶助費で約12億9千万円、投資的経費で約70億円の増額となったところでございます。
また、8つの特別会計を合計した予算規模も過去最大の348億6,590万円となり、今年度予算より4億5,200万円、比率といたしましては1.3%の増となったところでございます。その主な要因は、介護保険事業特別会計で、各サービスにかかる保険給付費の増によるものなどでございます。
一般会計と特別会計をあわせた予算総額も、過去最大の902億7,590万円となり、初めて900億円台を超える予算規模となったところでございます。
次に、具体的な施策につきまして、総合計画の基本構想における「まちづくりの基本方向」であります4つの柱に基づき、説明申し上げます。
~「人」が輝くまちへ~
まず、一つ目の柱である『「人」が輝くまちへ』に向けた取組でございますが、人権や男女共同参画、教育、スポーツ、文化関係の施策でございます。
今年は憲法の施行から70年の節目にあたり、その基本原則である「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」を再認識するとともに、基本的人権の永久尊重と恒久平和の実現を目指した「ゆたかな草津 人権と平和を守る都市宣言」の具現化を図り、人権が尊重された住みよいまちづくりの実現に向けて、人権と平和に関する各種取り組みを進めてまいります。
さらに、国における一億総活躍社会の実現に向けての柱の一つである「女性の活躍」を推し進めるため、「第3次男女共同参画推進計画(後期計画)」に基づき、「男女がともに喜びと責任を分かち合う協働のまち草津」の実現を目指してまいります。
次に、教育についてでありますが、「英語教育推進計画」に基づき、英語教育の指導体制の強化や専門性を有する指導助手(ALT:Assistant Language Teacher)との協働授業の充実や、本市の強みであるICTを活用し、外国と教室をビデオ通話でつなぐ「オンライン授業」の拡充に取り組むとともに、学校司書の配置の拡充等により、市内小中学校全校における学校図書館の毎日開館を実現し、読書好きの子どもを増やしてまいります。
また、地域と共にある学校づくりを進めるために、「コミュニティ・スクール」を全小学校に拡大し、教員を志望する学生ボランティアを各学校の要望により派遣するなど、「チーム学校」により、家庭や地域の参画を図ってまいります。
さらに、志津小学校および高穂中学校区域の宅地開発が進み、児童・生徒数が年々増加していることから、適正な施設規模を確保するため、校舎増築の実施設計を行うとともに、「中学校給食実施基本計画」に基づき、平成32年度から給食センター方式による中学校給食の運営を開始するための用地取得や基本設計等を進めてまいります。
次に、スポーツについてであります。市民の生涯スポーツの推進や健幸都市の取組を進めるため、草津川跡地公園を中心として誰もが気軽に参加できる「くさつ健幸ウオーク2017」の開催費に対する支援や、地域コミュニティによるスポーツ推進を図る「地域スポーツクラブ」の設立を支援するとともに、「スポーツリーダーバンク制度」の設立、および専門的な指導者が不足している中学校運動部活動の支援を行い、部活動の活性化や教員の負担軽減を図ってまいります。
次に、市民の皆さまの「ふるさと草津の心」の醸成に向けた取組につきましては、シティセールスの各種事業を継続して実施いたしますが、更なる工夫として、「たび丸」の着ぐるみ等を「クラウドファンディング」により調達するとともに、「ふるさと寄附制度」が利用できるポータルサイトを追加し、より多くの方に寄附いただけるよう、魅力ある情報発信に努めてまいります。
次に、文化についてでありますが、世論調査においても国民の「心の豊かさ」を求める意識は年々高まりを見せており、個人個人が自己実現を図り、真に豊かな社会を実現するためにも、地域文化の振興は欠くことのできない要素となっておりますことから、本市におきましても、文化振興に関する基本理念、基本施策を条例に定め、文化振興施策を総合的に進めるための計画を策定してまいります。
また、本市の歴史的特性であります街道文化の発信につきまして、史跡草津宿本陣および草津宿街道交流館の館内解説システムアプリを導入し、施設の魅力向上に努めるとともに、平成31年度に開館20周年を迎える草津宿街道交流館では、展示機器のリニューアルとプレイベントを実施し、観光資源としての魅力も高めてまいります。
~「安心」が得られるまちへ~
次に二つ目の柱である『「安心」が得られるまちへ』に向けた取組は、子育てや福祉、健康、防災関係の施策でございます。
本市を含め、全国的な課題であります待機児童対策といたしましては、これまでの間、施設整備を進め、保育所の定員増を図ってきたことから、平成28年4月には待機児童はゼロとなりましたが、引き続き保育需要が高まっていることから、(仮称)大路認定こども園、2箇所の小規模保育施設の整備等による定員拡大に努めてまいります。
また、今年度から認定こども園の運営を開始し、質の高い幼児教育と保育の一体的提供を進めておりますが、引き続き3歳児への幼児教育の需要に対応するため、公立幼稚園の認定こども園化に向けた整備を進めてまいります。
さらに、保育士等の不足が喫緊の課題となっておりますことから、補助制度を拡大し、民間保育所等が行う更なる保育士への処遇改善に対して支援するとともに、公立保育所等の臨時保育士の処遇改善を図り、保育士の安定的な確保や就業継続に取り組んでまいります。
次に、放課後児童の健全育成としての児童育成クラブにつきましては、待機児童の解消と利用者の多様なニーズに対応できる民設民営の児童育成クラブの開設を引き続き推進してまいります。
また、6カ月から9歳の児童が急病で集団保育が困難となり、保護者が就労等により保育ができない場合に、保育士や看護師がいる専用施設で一時的に児童を預かり、保育・看護を行う病児・病後児保育室を、平成29年4月から市南部地域において開設するとともに、子育て環境の充実を図るため、気軽に親子が集い、交流や相談ができる「子育て支援拠点施設」を平成30年度にJR南草津駅周辺で開設する準備を進めてまいります。
なお、JR草津駅周辺には、(仮称)市民総合交流センターの中で、設置を計画しておりまして、着実に整備を進めてまいります。
さらに、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを目指し、小学生・中学生の医療費助成制度を拡大し、現行は就学前までの通院医療費の助成を、平成29年10月からは小学校3年生までに拡大して実施するとともに、助産師、保健師、保育士を配置したワンストップ相談窓口である「子育て相談センター」において、「妊娠・出産・子育てまでの切れ目ない支援」を継続してまいります。
次に、長寿・生きがい対策でございますが、「高齢者が住み慣れた地域や家庭でいきいきと輝き、安心して暮らすことのできるまちづくり」を進めるため、従来の介護サービス事業者のほか、高齢者やボランティア、民間企業などによる多様なサービスを展開することにより、介護予防事業の充実を図り、持続可能な介護サービスの仕組みを構築する「介護予防・日常生活支援総合事業」を4月から新たに開始するとともに、地域包括支援システムの充実を図ってまいります。
また、生活支援体制整備事業として、独居高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の方が、安心して地域で暮らせるよう、地域の見守り活動や日常生活上の支え合い活動の促進と充実を図るとともに、団塊の世代が75歳以上になる平成37年を見据え、「第7期あんしんいきいきプラン」を策定してまいります。
次に、障害福祉といたしましては、「障害のある人もない人も、誰もがいきいきと輝けるまちづくり」を実現するため、第2期障害者計画および第5期障害福祉計画を策定するとともに、引き続き重度の知的障害者と肢体不自由のある重症心身障害者の日中活動の場となる通所施設の整備を、平成31年度の開所に向けて湖南4市で進めてまいります。
次に、地域福祉につきましては、少子高齢社会や核家族化などによって高齢単身世帯の増加や障害者世帯の孤立化等が顕在化していることから、「地域支え合い運送支援事業」に取り組む新たな学区を支援し、地域で支えあう体制づくりを進めてまいります。
次に、市民の健康づくりの推進であります。誰もが生きがいを持ち健やかで幸せに暮らせるまちを目指す「健幸都市づくりの推進」といたしましては、様々な健康関連事業を部局横断的に連携した「健幸都市基本計画」に基づき、健幸都市づくりに関するシンポジウム、高齢者の社会参加や生涯活躍社会構築に向けたワークショップ、草津川跡地公園での健幸イベント等を開催するなど、ハード・ソフト両面からの施策の展開や社会的なつながりの強化、産学公民の連携などにより、市全体で健幸都市づくりを進めてまいります。
また、がん検診の受診率向上を図るため、昨年、事業連携の協定を締結した協会けんぽと合同での特定健診の実施や、肺がん検診とのドッキング検診を実施するとともに、女性特有の検診である子宮頸がん検診、乳がん検診の無料クーポンを節目年齢の女性全員に拡大し、経済的負担の軽減および受診率の向上を図ることで早期発見による死亡率の減少に努めてまいります。
また、国民健康保険事業といたしましては、平成30年4月から都道府県への運営主体移行を見据えた国保財政の安定的な運営を行うとともに、医療費の適正化等を図るため、第3期特定健康診査等実施計画および第2期データヘルス計画を策定してまいります。
次に、生活安心施策といたしましては、安全で安心な消費生活の実現を図るため、引き続き地方消費者行政活性化交付金を活用し、消費生活相談支援の充実・強化を図るとともに、消費者被害の未然防止に向けた消費者教育や啓発活動を推進してまいります。
次に、防犯・防災対策であります。地震等の災害が発生した場合、地域での共助での取組が大変重要となることから、引き続き地域が主体となる地区防災計画の策定への支援を行うとともに、琵琶湖西岸断層帯地震の被害想定が大きくなったことから、市地域防災計画の見直しにあわせて、計画的な災害備蓄品の確保を図ってまいります。
また、自主防災組織の保有する消防ホースの経年劣化が進んでいることから、補助制度を拡大し、地域住民の自主的な防災活動を支援するとともに、消防団を中核とした地域防災力の強化のため、消防団員の確保と、活動服などの装備の充実を図ってまいります。
また、今年度から認定こども園の運営を開始し、質の高い幼児教育と保育の一体的提供を進めておりますが、引き続き3歳児への幼児教育の需要に対応するため、公立幼稚園の認定こども園化に向けた整備を進めてまいります。
さらに、保育士等の不足が喫緊の課題となっておりますことから、補助制度を拡大し、民間保育所等が行う更なる保育士への処遇改善に対して支援するとともに、公立保育所等の臨時保育士の処遇改善を図り、保育士の安定的な確保や就業継続に取り組んでまいります。
次に、放課後児童の健全育成としての児童育成クラブにつきましては、待機児童の解消と利用者の多様なニーズに対応できる民設民営の児童育成クラブの開設を引き続き推進してまいります。
また、6カ月から9歳の児童が急病で集団保育が困難となり、保護者が就労等により保育ができない場合に、保育士や看護師がいる専用施設で一時的に児童を預かり、保育・看護を行う病児・病後児保育室を、平成29年4月から市南部地域において開設するとともに、子育て環境の充実を図るため、気軽に親子が集い、交流や相談ができる「子育て支援拠点施設」を平成30年度にJR南草津駅周辺で開設する準備を進めてまいります。
なお、JR草津駅周辺には、(仮称)市民総合交流センターの中で、設置を計画しておりまして、着実に整備を進めてまいります。
さらに、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを目指し、小学生・中学生の医療費助成制度を拡大し、現行は就学前までの通院医療費の助成を、平成29年10月からは小学校3年生までに拡大して実施するとともに、助産師、保健師、保育士を配置したワンストップ相談窓口である「子育て相談センター」において、「妊娠・出産・子育てまでの切れ目ない支援」を継続してまいります。
次に、長寿・生きがい対策でございますが、「高齢者が住み慣れた地域や家庭でいきいきと輝き、安心して暮らすことのできるまちづくり」を進めるため、従来の介護サービス事業者のほか、高齢者やボランティア、民間企業などによる多様なサービスを展開することにより、介護予防事業の充実を図り、持続可能な介護サービスの仕組みを構築する「介護予防・日常生活支援総合事業」を4月から新たに開始するとともに、地域包括支援システムの充実を図ってまいります。
また、生活支援体制整備事業として、独居高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の方が、安心して地域で暮らせるよう、地域の見守り活動や日常生活上の支え合い活動の促進と充実を図るとともに、団塊の世代が75歳以上になる平成37年を見据え、「第7期あんしんいきいきプラン」を策定してまいります。
次に、障害福祉といたしましては、「障害のある人もない人も、誰もがいきいきと輝けるまちづくり」を実現するため、第2期障害者計画および第5期障害福祉計画を策定するとともに、引き続き重度の知的障害者と肢体不自由のある重症心身障害者の日中活動の場となる通所施設の整備を、平成31年度の開所に向けて湖南4市で進めてまいります。
次に、地域福祉につきましては、少子高齢社会や核家族化などによって高齢単身世帯の増加や障害者世帯の孤立化等が顕在化していることから、「地域支え合い運送支援事業」に取り組む新たな学区を支援し、地域で支えあう体制づくりを進めてまいります。
次に、市民の健康づくりの推進であります。誰もが生きがいを持ち健やかで幸せに暮らせるまちを目指す「健幸都市づくりの推進」といたしましては、様々な健康関連事業を部局横断的に連携した「健幸都市基本計画」に基づき、健幸都市づくりに関するシンポジウム、高齢者の社会参加や生涯活躍社会構築に向けたワークショップ、草津川跡地公園での健幸イベント等を開催するなど、ハード・ソフト両面からの施策の展開や社会的なつながりの強化、産学公民の連携などにより、市全体で健幸都市づくりを進めてまいります。
また、がん検診の受診率向上を図るため、昨年、事業連携の協定を締結した協会けんぽと合同での特定健診の実施や、肺がん検診とのドッキング検診を実施するとともに、女性特有の検診である子宮頸がん検診、乳がん検診の無料クーポンを節目年齢の女性全員に拡大し、経済的負担の軽減および受診率の向上を図ることで早期発見による死亡率の減少に努めてまいります。
また、国民健康保険事業といたしましては、平成30年4月から都道府県への運営主体移行を見据えた国保財政の安定的な運営を行うとともに、医療費の適正化等を図るため、第3期特定健康診査等実施計画および第2期データヘルス計画を策定してまいります。
次に、生活安心施策といたしましては、安全で安心な消費生活の実現を図るため、引き続き地方消費者行政活性化交付金を活用し、消費生活相談支援の充実・強化を図るとともに、消費者被害の未然防止に向けた消費者教育や啓発活動を推進してまいります。
次に、防犯・防災対策であります。地震等の災害が発生した場合、地域での共助での取組が大変重要となることから、引き続き地域が主体となる地区防災計画の策定への支援を行うとともに、琵琶湖西岸断層帯地震の被害想定が大きくなったことから、市地域防災計画の見直しにあわせて、計画的な災害備蓄品の確保を図ってまいります。
また、自主防災組織の保有する消防ホースの経年劣化が進んでいることから、補助制度を拡大し、地域住民の自主的な防災活動を支援するとともに、消防団を中核とした地域防災力の強化のため、消防団員の確保と、活動服などの装備の充実を図ってまいります。
~「心地よさ」が感じられるまちへ~
次に三つ目の柱である『「心地よさ」が感じられるまちへ』に向けた取組は、うるおいや環境、住生活、上下水道、道路、交通関係の施策であります。
“にぎわい”と“うるおい”の創出に力点を置き、多様な市民活動の場として魅力的な空間となり、また災害時には防災空間となる草津川跡地の整備を進めておりますが、メロン街道から浜街道までの草津川跡地公園(区間2:ai(あい)彩(さい)ひろば)と、JR琵琶湖線から市道大路16号線までの草津川跡地公園(区間5:de(で)愛(あい)ひろば)が4月に開園いたします。区間5の「de(で)愛(あい)ひろば」におきましては、草津まちづくり株式会社が進められる商業施設もあわせてオープンを迎え、公園と一体となってにぎわいが創出できるよう、連携・協力して取り組むとともに、国道1号平面化部から東側の区間6につきましては、栗東市と調整を図りながら基本設計を実施してまいります。
公園整備につきましては、市民スポーツの活動拠点である野村運動公園内の市民体育館について、スポーツのほかに各種イベントが実施可能な新体育館への建替え工事に着手し、中心市街地を活性化するにぎわいを創出するとともに、スポーツ健康づくりの推進と平成36年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会に向けた基盤整備に取り組んでまいります。
また、公共空間での市民協働による「ガーデンシティくさつ」の取組を進めるため、第2次緑の基本計画の見直しを検討いたします。
次に、環境対策でありますが、低炭素社会への転換、資源循環型社会の構築など、環境にやさしく、心地よさが感じられるまちづくりを進める必要があることから、環境に配慮したライフスタイルの普及・拡大に向けて、蓄電池等の購入に対する補助制度を新設するとともに、「安全で安定」、「経済性と効率性」、「環境に配慮」した施設として、平成30年3月の稼働を目指して、引き続き新クリーンセンターの整備工事を進めてまいります。
次に、住宅・住生活施策であります。持続可能な都市機能を確保し、将来的な人口減少社会に対応できるまちづくりの実現を目的とする立地適正化計画を策定するとともに、地域の特色や特性を活かした活気と活力ある持続可能なまちづくりを目指すため、地域再生計画を策定してまいります。
また、JR南草津駅周辺における計画的な市街地の形成と、地域の発展を図るまちづくりを進めるため、南草津プリムタウン土地区画整理事業に、また、JR草津駅前の土地の高度利用化と都市機能の更新を図り、災害に強く住みよい活気あるまちづくりを進めるため、北中西・栄町地区市街地再開発事業に、引き続き支援してまいります。
さらに、継続して中心市街地の活性化を推進していくため、第2期中心市街地活性化基本計画の策定に取り組むとともに、老朽化が著しい公共施設等を集約し、中心市街地の拠点施設として多くの市民の皆さまが利用し、子育てやにぎわいと交流が図ることのできる「(仮称)市民総合交流センター」の整備に、民間活力も活用して着手してまいります。
また、空き家所有者への啓発や指導を引き続き行うことにより空き家バンクの利用促進を図るとともに、「空き家等対策計画」に基づき、本市の実態にあった空き家の利活用方策を検討してまいります。
次に、水道事業といたしましては、震災被害からライフラインを守るため、ロクハ浄水場新館の耐震補強工事を3カ年かけ進めるとともに、自然災害等の発生時においても、高いレベルで水道機能の確保と復旧を図ることができるよう、平時から災害に備える計画として業務継続計画(BCP)を策定いたします。
また、下水道事業といたしましては、農業集落排水施設の経営改善に向けた取組として、引き続き公共下水道接続に向けた管渠整備を行い、下水道の安定した基盤づくりに努めてまいります。
次に、幹線道路等の整備についてであります。市域を南北に貫く幹線軸となる都市計画道路「大江霊仙寺線」の整備につきまして、引き続き旧十禅寺川以南の約900mの区間整備を行い、JR南草津駅周辺の渋滞緩和や大津方面の交通アクセスの確保を図るとともに、快適な道路環境を維持するため、既存道路の安全確保と適正な維持管理、通学路の安全対策を進め、老朽化が進む橋梁、舗装、標識等の点検と改修を計画的に進めてまいります。
また、公共交通体系の充実に向けまして、「コンパクト+ネットワーク」による持続可能な都市機能の構築と、地域活力の維持・活性化を図るため、滋賀県や大津市と連携するとともに、市民・事業者・行政の三者が協働し、将来を見据えた公共交通の再編を行う公共交通網形成計画の策定に、引き続き取り組んでまいります。
~「活気」があふれるまちへ~
次に四つ目の柱である『「活気」があふれるまちへ』の取組は、農業や商工観光、コミュニティ活動、交流の施策でございます。
まず、農林水産業についてであります。優良な農地を確保・保全し、農業振興のための各種施策を計画的かつ集中的に実施するため、農業振興地域整備計画を策定するとともに、野菜残さ等の未利用資源を活用して高品質の有機性液肥を生成し、地域内農地で利活用する新たな資源循環型農業の実現に向けた取組に支援してまいります。
次に、まちに活気を生む産業の振興につきましては、産業の集積化・高度化に努めるとともに、ベンチャー企業への更なる支援として、企業育成施設であるインキュベーション施設を退去後に工場や研究所等を市内で賃貸し、研究・開発から次なる展開を図る製造事業者等に対する補助制度を拡充し、市内企業の立地促進に努めてまいります。
また、滋賀県および琵琶湖周辺の各市が連携して、琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」推進プロジェクトに取り組み、安心して自転車で本市のまちなかへ回遊ができる環境整備を行い、宿泊客数の増加や地域経済の活性化を図るとともに、「健幸」を意識しながら本市の地域資源を掘り起こす「草津版ヘルスツーリズム」の企画に向けたモニターツアーを実施し、交流人口の増加や、本市を訪れることによって「健幸」を享受していただける仕組みづくりを進めてまいります。
次に、コミュニティ活動の振興についてであります。「協働のまちづくり条例」に基づき、まちづくりのそれぞれの主体が、その強みや特性を活かし、相互に連携・協力しながら「協働のまちづくり」を推進してまいります。
中長期の将来を見据えて市民自治をさらに発展させるため、平成29年度から現在の市民センター・公民館を地域まちづくりセンターとして機能転換し、13施設で指定管理者制度を導入するとともに、各学区まちづくり協議会による管理運営をサポートするため、中間支援組織である公益財団法人草津市コミュニティ事業団を通じて総務支援を行う等、様々な主体の力を結集して取り組んでまいります。
また、地域課題や地域の特色を活かした取組を応援するため、引き続き「がんばる地域応援交付金」により、地域の魅力を高めるため、地域ならではの多様な取組を支援します。
次に、多様な交流活動の展開として、産・学・公・民との協働によるまちづくりの展開といたしまして、昨年10月に開設した「アーバンデザインセンターびわこ・くさつ(UDCBK)」を、JR南草津駅前の、より人通りの多い商業施設に移し、誰もが気軽に立ち寄り、積極的に活用いただける交流の拠点となるよう進めてまいります。
続きまして、「地域経営のための行財政マネジメント」に対する取組でございます。まず、職員の働き方改革に取り組み、ワーク・ライフ・バランスの推進を図るとともに、人事諸制度を有機的に結び付け、組織全体の士気高揚、公務能率の向上を図り、市民福祉の向上に努めてまいります。
次に、引き続き「持続可能な共生社会の構築」を目指し、「協働のまちづくりの推進」と「自律的な行政経営」の2つを改革の方向性とした「第3次行政システム改革推進計画」の取組を推進するとともに、その一環として、公民連携手法を活用し、新たな分野へのアウトソーシングの導入に向けた検討を行ってまいります。
特に、先行して内部業務の一部である戸籍入力業務等のアウトソーシングを行い、待ち時間の短縮等を図ることによって、窓口サービスの向上に努めてまいります。また、公金収納事務を「おうみ自治体クラウド協議会」で共同してアウトソーシングすることによって、経費の節減と事務の効率化を図ってまいります。
次に、納税者の利便性の向上を図り、納期内納付を高め、収納率の向上につなげる取組といたしまして、軽自動車税および固定資産税・都市計画税につきまして、新たな納付手段としてクレジットカード払いによる収納を導入してまいります。
以上が、平成29年度の施政方針と当初予算の歳出の主な内容でございます。
これら諸施策の実施に当たりましては、限られた財源の中、健全な財政運営が求められております。
そのため、財政運営に関し自らを律する自治体として、平成25年10月に策定し、昨年10月に中間見直しをいたしました、財政規律ガイドラインなどの本市独自の取組等について条例を制定し、財政規律を確保し、将来にわたって健全で持続可能な財政運営を行い、市民サービスを安定的かつ継続的に提供し、市民福祉の向上を図ってまいります。今後は、この条例に基づきまして、健全で持続可能な財政運営を行い、財政規律を確保していこうとするものでございます。
財政規律ガイドラインの指標は、事業が一時(いっとき)に集中することにより、一時的に指標達成が困難となる場合もございますが、全体として健全な財政運営を堅持してまいります。
~財源について~
次に、平成29年度予算における財源につきまして、説明を申し上げます。まず、市税は約221億5,100万円でございまして、28年度と比較いたしますと0.1%増の約1,700万円の増収を見込んでおります。これは、給与所得者の所得額の伸びが期待できることから個人市民税を増収で見込んだ一方で、市内企業の業績等から法人市民税を減収で見込んだことなどによるものでございます。次に、地方交付税は、地方財政計画を反映し、13億9,700万円でございまして、28年度と比較いたしますと2.0%減の2,900万円の減を見込んでおります。次に、国庫支出金につきましては、今年度と比較して39.3%増の約108億6,400万円を見込んでおり、県支出金ならびに他の財源につきましては、それぞれの事務事業に必要な所要額を計上しております。次に、繰入金につきましては、クリーンセンター更新事業をはじめとする財政運営計画計上事業等の投資的事業を進めていくための財源として、環境衛生事業基金およびまちづくり基盤整備基金の充当や、法人市民税の減収分を財政調整基金で充当するなど、今年度と比較して11.5%増の約26億1千万円を見込んでおります。また、市債につきましても、基金同様に投資的な事業に対し必要な額を措置いたしておりまして、今年度に比べクリーンセンター更新事業で約33億6千万円増となったことなどから、105.6%増、金額にして約46億6千万円増の約90億7,400万円となったところでございます。