はしかわ市長のだいすきくさつ（令和5年10月）

文章は、「広報くさつ10月号」に掲載された内容です。

生活に文化芸術の楽しさを

　木々の色付きが秋らしくなってきました。くすんだ赤みがかった黄色は「朽葉色（くちばいろ）」という伝統的な色名があり、紫式部の源氏物語の中にも登場します。朽葉色から派生した色は「朽葉四八色」と言われるほど多く、昔の人々が、この時期に少しずつ変わりゆく、秋の落ち葉の僅かな色の違いを、繊細に感じ楽しみながら過ごしていたことが想像できます。落ち葉の絨毯の上を歩くとき、足元の色にいつもより注目すると、秋の風情をより感じられるかもしれません。
　今年も、「芸術の秋」の文化事業の一つとして、「アートフェスタくさつ」を開催します。文化は人と人を結び、豊かな人間性を養い成長させてくれるもので、地域で育まれる文化は、その土地に住む人々の心の拠り所でもあります。
　令和2年度に文化庁が実施した「文化に関する世論調査」では、コロナ禍で「一年間の文化芸術の鑑賞経験が減少したことにより、『楽しみ』や『幸せ』を感じることが大幅に減り、人々の生活の質が低下した」という調査結果が公表されています。コロナ禍で文化施設の休館や、さまざまなイベントが中止となり、外出が制限されたことで、これまで暮らしと共に行われてきた文化活動が、日常に楽しみを与え、人生をより豊かにしてくれていたことを、私も改めて実感いたしました。
　小・中学生の頃は、学校の授業や習い事などで文化活動に参加する機会がありますが、大人になると、仕事や家事、育児などに追われ、なかなか希望するような文化活動が難しい方もおられると思います。市では、誰もが文化に親しめる機会がもてるよう、買い物で訪れる商業施設にアーティストを招き、ワークショップや文化体験などができる「ビワアートコレクション」などのイベントも実施しています。
　移動映画館による、アートフェスタの「星降る映画館」も今年で7年目になりました。屋外の開放的な空間で、その場所に集まった人たちと、同じ映画を観て情感を分かち合う経験は、特別なものです。草津川跡地公園de愛ひろばでの開催ですので、仕事帰りの方も、ふらっと気軽にお立ち寄りください。星空の下で映画の余韻に浸る体験を、この秋の思い出の一つにいかがでしょうか。（詳しくは22ページをご覧ください）。